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天狐あやかし秘譚
第17章 大声疾呼(たいせいしっこ)

「終わったあああああ!」
土御門が、剣を降ろして膝から崩れた。河西を押さえ続けた左前がヨロヨロと立ち上がる。ダリがヒュンと槍を一振りし、槍はそのまま霧消した。
私はというと、河西佳苗を押し倒すような形で地面に突っ伏していた。
間に・・・あったの?
いろんなことが一瞬だった。でも、どうやら、河西佳苗は鬼道に呑まれず、闇は消滅し、誰も怪我人がいない、そういう状況のようだ。
河西は、気絶していた。
どういう理屈かわからないが、先程まで女怪のように真っ黒だった皮膚は元の色に戻り、まるで眠っているかのようだった。
ダリが私を助け起こしてくれる。
「大丈夫か・・・綾音・・・。」
「う・・・ん、なんとか・・・」
私も一応身体を触ってみたが、自分についても、どこも怪我はしていないようだ。
ダリが近くにいると安心してじわっと涙が出てくる。
今更ながらに、怖くなって、足が震えてきた。
ぎゅっとダリが、抱きしめてくる。
「綾音・・・やはり主は・・・」
また、彼のセリフは妙なところで途絶えた。だけどいい。こうして抱きしめてくれるだけで、私はとても安心できるから。
かくして女怪の絡んだ恐ろしい事件が、一応の終結を見たのだった。
土御門が、剣を降ろして膝から崩れた。河西を押さえ続けた左前がヨロヨロと立ち上がる。ダリがヒュンと槍を一振りし、槍はそのまま霧消した。
私はというと、河西佳苗を押し倒すような形で地面に突っ伏していた。
間に・・・あったの?
いろんなことが一瞬だった。でも、どうやら、河西佳苗は鬼道に呑まれず、闇は消滅し、誰も怪我人がいない、そういう状況のようだ。
河西は、気絶していた。
どういう理屈かわからないが、先程まで女怪のように真っ黒だった皮膚は元の色に戻り、まるで眠っているかのようだった。
ダリが私を助け起こしてくれる。
「大丈夫か・・・綾音・・・。」
「う・・・ん、なんとか・・・」
私も一応身体を触ってみたが、自分についても、どこも怪我はしていないようだ。
ダリが近くにいると安心してじわっと涙が出てくる。
今更ながらに、怖くなって、足が震えてきた。
ぎゅっとダリが、抱きしめてくる。
「綾音・・・やはり主は・・・」
また、彼のセリフは妙なところで途絶えた。だけどいい。こうして抱きしめてくれるだけで、私はとても安心できるから。
かくして女怪の絡んだ恐ろしい事件が、一応の終結を見たのだった。

