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天狐あやかし秘譚
第22章 【第7話 ホシガリ様】異聞奇譚(いぶんきたん)

「浮内本家の氏神様をお祭りするのが輿入祭ってことですか?」
宝生前が尋ねる。話の聞き出し方がスムーズだ。やっぱり日頃からこういった取材というか調査に慣れているせいだろうか。
「そっだね・・・。私もバッチャに聞いた話で又聞きだから間違ってかもしれないけどな・・・」
前置きをして、女将が話してくれたのを総合すると、どうやら輿入祭とは次のような祭らしい。
浮内家には『ホシガリ様』という神様がいて、そのホシガリ様を丁重にお祀りすることで繁栄してきたという。代々、本家の当主は自分の娘を『ホシガリ様』に見立て、そこに分家の男子を婿入させることでホシガリ様を慰めてきたそうだ。
その婿入りの儀式が輿入祭であり、婿入した男子が次期当主になる、というのだ。
「え?でも、当主に女の子が生まれなかったらどうするんですか?養子でも取る?逆に男の子がいたらどうするんですか?跡取りをわざわざ分家から迎えるんですか?」
宝生前が疑問を呈する。確かにそうだ。毎回毎回女の子が生まれるとは限らないよね?
「うーん・・・よーわからんけど、ずっと昔からそうやってきたっちゅうことだよ?もしかしたら、息子がいるときは祭をしないとかもあるんかもしれんけどね」
ふーん・・・そんなもん?
「で?今年の輿入祭は誰が婿なんですか?」
「ああ・・・分家の草介だな。ほら、その先の家に長男の圭介、次男の怜介と暮らしとるよ。」
長男、次男・・・っていうことは・・・?
「え?てことは草介くんは三男なんですか?てっきり本家の跡取りっていうから長子かと・・・。」
「んにゃ、誰を婿に出すかは分家が決めんじゃなくて、婿をとる本家の娘が決めるっちゅう話やよ。まあ、圭介や怜介もくやしがっとろうがね」
なんと・・・そこは嫁の好みなのか・・・。
「随分興味深いお祭ですね。楽しみになってきました」
宝生前はにっこりと笑い、干蛸をかじる。ダリもいい音を立てながらカキフライをひとかじり、一瞬目を見開いたところを見ると、相当美味しかったらしい。
いいなあ・・・。
私は、また船酔いで目の前がくるくるしていた。
宝生前が尋ねる。話の聞き出し方がスムーズだ。やっぱり日頃からこういった取材というか調査に慣れているせいだろうか。
「そっだね・・・。私もバッチャに聞いた話で又聞きだから間違ってかもしれないけどな・・・」
前置きをして、女将が話してくれたのを総合すると、どうやら輿入祭とは次のような祭らしい。
浮内家には『ホシガリ様』という神様がいて、そのホシガリ様を丁重にお祀りすることで繁栄してきたという。代々、本家の当主は自分の娘を『ホシガリ様』に見立て、そこに分家の男子を婿入させることでホシガリ様を慰めてきたそうだ。
その婿入りの儀式が輿入祭であり、婿入した男子が次期当主になる、というのだ。
「え?でも、当主に女の子が生まれなかったらどうするんですか?養子でも取る?逆に男の子がいたらどうするんですか?跡取りをわざわざ分家から迎えるんですか?」
宝生前が疑問を呈する。確かにそうだ。毎回毎回女の子が生まれるとは限らないよね?
「うーん・・・よーわからんけど、ずっと昔からそうやってきたっちゅうことだよ?もしかしたら、息子がいるときは祭をしないとかもあるんかもしれんけどね」
ふーん・・・そんなもん?
「で?今年の輿入祭は誰が婿なんですか?」
「ああ・・・分家の草介だな。ほら、その先の家に長男の圭介、次男の怜介と暮らしとるよ。」
長男、次男・・・っていうことは・・・?
「え?てことは草介くんは三男なんですか?てっきり本家の跡取りっていうから長子かと・・・。」
「んにゃ、誰を婿に出すかは分家が決めんじゃなくて、婿をとる本家の娘が決めるっちゅう話やよ。まあ、圭介や怜介もくやしがっとろうがね」
なんと・・・そこは嫁の好みなのか・・・。
「随分興味深いお祭ですね。楽しみになってきました」
宝生前はにっこりと笑い、干蛸をかじる。ダリもいい音を立てながらカキフライをひとかじり、一瞬目を見開いたところを見ると、相当美味しかったらしい。
いいなあ・・・。
私は、また船酔いで目の前がくるくるしていた。

