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天狐あやかし秘譚
第23章 形影相弔(けいえいそうちょう)
☆☆☆
着物のチェック、明日の段取りのチェックが済めば、浮内の者は僕に用はない。僕はもとの『座敷牢』に戻され、ぼんやりと過ごすしかない。

「諦めないで・・・か」

ひとりごちする。ただ、窓には格子、扉の外には見張りがついたこの部屋から逃れる方法など、今の僕には全く思いつかなかった。
そのとき、母屋の方で何かガタガタと音がした。どうやら予定外の客が来たようだった。

「珍しい」

僕はそっと障子を開け、外をうかがう。スーツ姿の男性、その後ろに割とラフな格好をした女性と、背の高いやたら顔のいい男が続いていた。皆、この島では見たことがない人ばかりだった。

ドキン、とする。

『諦めないで』

姉の言葉が心にリフレインする。

「なんとか・・・あの人達に」

浮内の家のものではない人、浮内の息がかかっていない人に・・・伝えることが出来ないだろうか・・・。

「木島」
僕は声をかけた。

「何でしょう、草介様」
「今、客が来たか?」
「はい・・・どうやら民俗学を専攻する学者・・・とのことです」

学者・・・。

「僕も話をしてみたい」
ふふん、と鼻で笑う声が聞こえた。表向きは僕のお付きでも、本性はこれだ。僕のことは奴隷のようにしか思っていない。

「民俗学に興味がある・・・。明日になれば僕にはなにもない。最期くらい、島の外の人間と話してもよいだろう?木島が一緒でなら兄様も許可をされはしまいか?」
食い下がってみる。なんとか・・・頼む。
しばらく時間があいたが、「わかりました。確認してみます」と言ってくれた。

圭介は非常に頭の切れる男だ。だが、同時に自分の能力を高く評価しすぎているところがある。そして、そういう人間に限って、周りの人間がバカで愚かに見えるものだ。

僕はそれに賭けたのだ。

「圭介様の許可が降りました。ただし、10分、とのことです。」
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