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天狐あやかし秘譚
第26章 往古来今(おうこらいこん)

・・・もう、この世に生きるあてなどない・・・生きる術もない・・・。
『私』は領巾の力で、刀を右手に生み出した。
せめて、彼岸で共にありましょう・・・。
そのまま両手に持った刃で喉を突いた。
焼けるような痛みが喉を焦がす。でも、苦しいのも少しだけ。もう、これで、これで・・・。
ところが、刃がボロリと朽ち果てた。
そして、喉の傷はたちまちに治ってしまう。
なぜ・・・?
今度は腹を刺した。苦痛に耐え、臓物を引きずり出し、叫びをあげながらのたうち回る。それでも、引きずり出されたのとは別の臓物が体内に生まれ、傷が治ってしまう。
・・・死ねない・・・。
まさか・・・。
『私』は領巾を自らの身体から引き離そうとした。しかし、どんなに力を込めても、領巾は私の身から離れることはなかった。
死ねない・・・
領巾を外すことも出来ない。
死んであの人のもとに行くことすら出来ない!
喉からほとばしるような『私』の慟哭が、月明かりが照らす浮内島に、いつまでも、いつまでもこだまし続けた。
真っ黒い絶望が、『私』の、・・・【浦原綾香】の心の内を熱いマグマのようにひたすらに駆け巡っていた。
『私』は領巾の力で、刀を右手に生み出した。
せめて、彼岸で共にありましょう・・・。
そのまま両手に持った刃で喉を突いた。
焼けるような痛みが喉を焦がす。でも、苦しいのも少しだけ。もう、これで、これで・・・。
ところが、刃がボロリと朽ち果てた。
そして、喉の傷はたちまちに治ってしまう。
なぜ・・・?
今度は腹を刺した。苦痛に耐え、臓物を引きずり出し、叫びをあげながらのたうち回る。それでも、引きずり出されたのとは別の臓物が体内に生まれ、傷が治ってしまう。
・・・死ねない・・・。
まさか・・・。
『私』は領巾を自らの身体から引き離そうとした。しかし、どんなに力を込めても、領巾は私の身から離れることはなかった。
死ねない・・・
領巾を外すことも出来ない。
死んであの人のもとに行くことすら出来ない!
喉からほとばしるような『私』の慟哭が、月明かりが照らす浮内島に、いつまでも、いつまでもこだまし続けた。
真っ黒い絶望が、『私』の、・・・【浦原綾香】の心の内を熱いマグマのようにひたすらに駆け巡っていた。

