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天狐あやかし秘譚
第26章 往古来今(おうこらいこん)

☆☆☆
「その話が本当なら・・・」
宝生前さんがため息をつく。
「そうか・・・道理で切った感触があやかしとは違うと思うた」
ダリさんが座ったまま、ぎゅっと古槍を握りしめた。
「そう、ホシガリ様は、人間です。神宝『品々物之比礼(くさぐさのもののひれ)』で変わり果ててはしまいましたが、もともとはただの人間なんです」
「なんということだ・・・」
宝生前さんが天を仰ぐ。
「おい!あいつはどこに行った?たとえ殺すことはできなくとも、綾音は取り戻さねばならぬ・・・」
ダリさんがぎろりと僕を睨みつけてくる。一体、二人はどういう関係なのだろうか・・・。
「おそらく、奥の間だと思います。私達一族にのみこの家の主要な部屋の場所が伝えられています。私も小さい頃に数回、ここに入ったことがあります。」
そう、そして、見てしまったのだ。ホシガリ様が先代の『贄』をどのように貪っていたのかを・・・。
「この家が、こんな構造になっているのはホシガリ様を閉じ込めるため・・・というところでしょうか」
宝生前さんの疑問に、僕はコクリと頷く。
「実は、ホシガリ様は、祖先との契約により、この家の壁から外に出ることは出来ません。なので、こんな風に迷路状にする必要は本来ないのです。でも、それでも祖先たちは恐ろしかったのでしょう。ホシガリ様に復讐されることが・・・。だから、決して彼女がこの家から出てこられないように、代々の当主はこの家を増築し続けました。この家は先祖たちの恐怖の様相そのものです。」
そうだ、この家は、狂った浮内の象徴そのものだ。
一人の女の人生を狂わし、今もなお、『婿』という名の生贄を与えながらその血を啜り続ける醜い一族。
「その話が本当なら・・・」
宝生前さんがため息をつく。
「そうか・・・道理で切った感触があやかしとは違うと思うた」
ダリさんが座ったまま、ぎゅっと古槍を握りしめた。
「そう、ホシガリ様は、人間です。神宝『品々物之比礼(くさぐさのもののひれ)』で変わり果ててはしまいましたが、もともとはただの人間なんです」
「なんということだ・・・」
宝生前さんが天を仰ぐ。
「おい!あいつはどこに行った?たとえ殺すことはできなくとも、綾音は取り戻さねばならぬ・・・」
ダリさんがぎろりと僕を睨みつけてくる。一体、二人はどういう関係なのだろうか・・・。
「おそらく、奥の間だと思います。私達一族にのみこの家の主要な部屋の場所が伝えられています。私も小さい頃に数回、ここに入ったことがあります。」
そう、そして、見てしまったのだ。ホシガリ様が先代の『贄』をどのように貪っていたのかを・・・。
「この家が、こんな構造になっているのはホシガリ様を閉じ込めるため・・・というところでしょうか」
宝生前さんの疑問に、僕はコクリと頷く。
「実は、ホシガリ様は、祖先との契約により、この家の壁から外に出ることは出来ません。なので、こんな風に迷路状にする必要は本来ないのです。でも、それでも祖先たちは恐ろしかったのでしょう。ホシガリ様に復讐されることが・・・。だから、決して彼女がこの家から出てこられないように、代々の当主はこの家を増築し続けました。この家は先祖たちの恐怖の様相そのものです。」
そうだ、この家は、狂った浮内の象徴そのものだ。
一人の女の人生を狂わし、今もなお、『婿』という名の生贄を与えながらその血を啜り続ける醜い一族。

