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天狐あやかし秘譚
第30章 愛別離苦(あいべつりく)
「あれ?そう言えば、あの領巾は?」
「ああ、あれですか。あれは陰陽寮の京都支局の者が移送しているはずです。極めて危険な宝物ですからね。然るべき機関で保管されるはずです」
宝生前がビールを一口飲みながら教えてくれた。

長かった今回の浮内島の出張。ああ、やっと終わったんだな・・・と思えてきた。

「じゃあ、これ食べて、お風呂入ったら明日はもうさよならだね。草介さん・・・色々ありがとう・・・そう言えば、これから、その・・・どうするの?」
そうだ、浮内の家に戻るのだろうか?
「家のことは多分、怜介が引き継ぐでしょう。ホシガリ様の力がなくなったとて、あちこちに会社を経営している家です。すぐに傾くはずもない。ただ、僕は、もうあの家に戻る気はないです」
まあ、そうだろうな・・・。草介さんは東京に出て、新聞奨学生でもしながら大学に行きたい、と言っていた。宝生前が自分が教鞭をとる大学を熱心に勧める。

こちらはこちらでうまくいく、だろう。
よかった、本当に、これで終わりだ・・・。

ぐっと伸びをする。色々あったけど、結局は死人もけが人も出ずに済んだ。ああ・・・本当に疲れたなあ。

「おい、綾音・・・」
大団円の充足感に浸ってるところにダリが声をかけてくる。ビクリ、と私は肩を震わせた。
「まだ終わっておらぬぞ・・・よもや忘れたわけではないだろうな」
ちらりとこちらに目をやる。

あ・・・あえて触れないでいたのに・・・。

たらっと冷や汗が流れる。

「ああ!そう言えば」
宝生前が追随する。・・・ちょ・・・あなた!
草介さんはやや顔を赤くしてついと目を逸らした。

「契は・・・果たしてもらうぞ」
ダリの笑みが、妖艶だと感じたのは、気のせいではないと思う。

伸びた姿勢のまま、私は顔を真っ赤にして固まってしまった。
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