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天狐あやかし秘譚
第34章 【第9話 姑獲鳥】報恩謝徳(ほうおんしゃとく)
【第9話 姑獲鳥】

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【報恩謝徳】受けた恵みや恩に対して報いようと、感謝の気持を持つこと。
自分が受けた恩、身の丈にあった方法で返したいな、みたいな。
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『あの女、ずっとあそこに居るな・・・。』

交差点に佇む女性に芝三郎が目を向ける。彼は家で過ごすのに飽きてしまい、近所の公園に遊びに行くところであった。昨日もだいたい同じくらいの時間にここを通りかかったのだが、同じ女が同じ姿で同じ場所に立ち尽くしているのを見ていた。

年の頃は40代後半だろうか。いや、やけに憔悴した表情をしているところを差し引くと、本当はもっと若いという可能性もある。季節外れの薄手のペイルブルーのワンピースを着て、髪の毛はあまり手入れされていないと見え、ボサボサだった。
四つ辻の角、横断歩道の近くに位置しぼんやりと交差点を眺めている。表情に精気はなく、また、青ざめていた。

その足元に花束がおかれているのを見つけたところで、芝三郎は察した。

『ああ、あの者は生者ではないのだな』

今の世でも『辻』にはああいった者が溜まるのだな、と思いながら、芝三郎は足早に公園を目指した。死者は大抵の場合無害である。しばらく未練の残る地にいても、そのうち魂が擦り切れ、常世に消えていく。

『まあ、随分悲しそうな顔をしているが・・・』

よそ見をしたのが悪かったのか、芝三郎はボンと人にぶつかってしまった。慌てて「申し訳ない」と詫びの言葉を口にする。

「あら?あなた、視えるの?」

彼がぶつかったのは、幼い女の子だった。年の頃は清香よりも上、彼が化けている少年の姿よりは下、と言ったところだろうと感じた。綾音たちが言っていた『しょうがっこう』というのを思い出し、その初等の年齢に当たるくらいかと、見当をつけた。

視えるの?ということは、この者にもあの女が視えているのだろう。

「ああ、視えてる」

それなら構うまい、と芝三郎は自分が視えている事実を告げた。

「そうなんだ・・・じゃあさ、お兄ちゃん、私に協力してくれない?」
その女の子は、にこりと笑って、芝三郎の手を取った。
「お・・・おう」
芝三郎は、その女児の可愛らしさに、やや顔を赤らめ、目を泳がせた。
これが、芝三郎と女児『環(たまき)』との出会いだった。
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