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天狐あやかし秘譚
第35章 真実一路(しんじついちろ)
☆☆☆
昼間、環ちゃんが魂の力を失って消えてしまいそうなのを知ったとき、芝三郎が急に土下座をしてきた。そして、こう言い出したのである。

『淡路の国、三熊の芝三郎狸・・・この名にかけて、折り入ってお二人に頼みがござる。何卒、拙者と一緒に一芝居打ってくだされ!』

これには、私もダリも驚いた。芝三郎曰く、環の母親には普通の言葉では通じない。環が戻ってきたと一瞬でも信じさせなくてはいけないが、そのためには、『夢を見ている』とでも思わせる必要がある、というのだ。

そのために、非現実的な舞台を設定してのお芝居が必要だと。
そのあまりの真剣さに、私達は、いっしょに芝居をすることに同意したのであった。

そして、そこからは大忙しだった。

陰陽寮から派遣されてきた御九里や清香ちゃんにまで手伝ってもらって、もう一度『クリスマスプレゼント』の作成をした。
並行して、私はドン・◯ホーテで、女死神の衣装を購入。
さらに、芝三郎は芝居の脚本のあらすじを作り、買い物から帰ってきた私がそのセリフを補完。

ここまで出来たところで、みんなで環ちゃんのお母さんが収容されている病院に向かい、そこに潜入した。
そして、ダリが妖力で環の母親が眠る病室から人を排除、結界を張って、準備完了だ。

あとは、環ちゃんのお母さんが目を覚ましたときを見計らって、私と環ちゃんに化けた芝三郎をダリがその妖力で病室に出現させ、例のお芝居を決行した・・・というわけだ。

芝三郎は化けるのに慣れているのでなんということはなさそうだったが、私は役者よろしく慣れない口調で喋って本当に疲れた。それで、ぐったりして、こうして屋上で呆けている、というわけである。

「本当は環自身が母に会えればよかったのだがな・・・」

芝三郎が残念そうに呟く。確かにそれが一番いいに違いない。しかし、それはもう無理だったのだ。環ちゃんの魂は、現し世に残れるギリギリのところまで削れてしまっていた。なので、今は、御九里の術で金人形に封入されていた。

その金人形は今、芝三郎の懐の中だった。
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