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天狐あやかし秘譚
第40章 一殺多生(いっさつたしょう)

☆☆☆
「さて、あれが中類村なんやが・・・」
瀬良が車を止めると、土御門が前方を指し示した。
「綾音はん・・・大丈夫なん?」
半ば呆れたような顔でこちらを見る。その目には覚えがあった。岡山駅で宝生前から向けられたものと同じだった。
私の状況は、あの時と大差ない。車の後部座席に座り、隣にいる人間モードのダリの肩に頭を乗せ、ぽやぽやと呆けている。
口元はだらしなく緩み、目はトロンとしている・・・と思う。
腑抜けている自覚はある。
身体の熱が、まだ冷めていないよ・・・。
あんまりお酒飲まないから経験ないけど、二日酔いってこういう感じかも。
昨晩、というか、今朝未明までダリに愛され倒されてしまった私のアソコは、まだダリのアレが入っているのではないかと勘違いするくらい、なんとなく、何か入っている感覚が残っているし、何となればジクジクと疼いていた。寝不足のせいもあるが、頭にはまだピンクの靄がかかっていて、身体とともにふわふわとして腰が定まっていない。
宿を後にし、土御門たちと合流し、なんとか車には乗ったものの、車に揺られている内に、力が入らなくなり、ダリの肩にパッタリと頭を乗せ、ヘロヘロしている始末である。
土御門に呆れられるのも、無理はない。
「だ・・・大丈夫・・・れす」
一応、仕事という意識はあるので、頑張って体を起こし、土御門が示した方を見るよう努める。峠道の向こう側、平地が広がっているのが見える。そこにはポツポツと家が建っており、また、土地の大半を占める畑が目に入った。
家々はさも田舎の家という風情で、どれもこれも年季が入っているものばかりだった。
見た感じ、何の変哲もない片田舎の集落、という感じだった。
「この先、規制線があるので、手前のあのへんに車、止めますね」
そう言うと、少しだけ車を走らせる。峠を少し降りたところに車避けがあり、瀬良はそこにレンタカーを止めた。運転席から瀬良が、助手席から土御門が降り立つ。土御門は先日女怪の討伐に出向いたときと同じような刀袋を背に負っていた。若干袋の柄が違うのは、おそらく中身が前回使った『将軍剣』ではなく、今回八坂神社から借り受けた『蛇之麁正(おろちのあらまさ)』だからだろう。
「こっからは歩きや・・・歩けるん?」
「だ、大丈夫・・・」
「さて、あれが中類村なんやが・・・」
瀬良が車を止めると、土御門が前方を指し示した。
「綾音はん・・・大丈夫なん?」
半ば呆れたような顔でこちらを見る。その目には覚えがあった。岡山駅で宝生前から向けられたものと同じだった。
私の状況は、あの時と大差ない。車の後部座席に座り、隣にいる人間モードのダリの肩に頭を乗せ、ぽやぽやと呆けている。
口元はだらしなく緩み、目はトロンとしている・・・と思う。
腑抜けている自覚はある。
身体の熱が、まだ冷めていないよ・・・。
あんまりお酒飲まないから経験ないけど、二日酔いってこういう感じかも。
昨晩、というか、今朝未明までダリに愛され倒されてしまった私のアソコは、まだダリのアレが入っているのではないかと勘違いするくらい、なんとなく、何か入っている感覚が残っているし、何となればジクジクと疼いていた。寝不足のせいもあるが、頭にはまだピンクの靄がかかっていて、身体とともにふわふわとして腰が定まっていない。
宿を後にし、土御門たちと合流し、なんとか車には乗ったものの、車に揺られている内に、力が入らなくなり、ダリの肩にパッタリと頭を乗せ、ヘロヘロしている始末である。
土御門に呆れられるのも、無理はない。
「だ・・・大丈夫・・・れす」
一応、仕事という意識はあるので、頑張って体を起こし、土御門が示した方を見るよう努める。峠道の向こう側、平地が広がっているのが見える。そこにはポツポツと家が建っており、また、土地の大半を占める畑が目に入った。
家々はさも田舎の家という風情で、どれもこれも年季が入っているものばかりだった。
見た感じ、何の変哲もない片田舎の集落、という感じだった。
「この先、規制線があるので、手前のあのへんに車、止めますね」
そう言うと、少しだけ車を走らせる。峠を少し降りたところに車避けがあり、瀬良はそこにレンタカーを止めた。運転席から瀬良が、助手席から土御門が降り立つ。土御門は先日女怪の討伐に出向いたときと同じような刀袋を背に負っていた。若干袋の柄が違うのは、おそらく中身が前回使った『将軍剣』ではなく、今回八坂神社から借り受けた『蛇之麁正(おろちのあらまさ)』だからだろう。
「こっからは歩きや・・・歩けるん?」
「だ、大丈夫・・・」

