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天狐あやかし秘譚
第40章 一殺多生(いっさつたしょう)
全然大丈夫そうではない返事しかできないが、さすがにこれ以上甘えるわけにはいかないので、気力を振り絞って身体に力を込める。

がく・・・

しかし、やはり足に力が入らない。先ほど少し寝てしまったのもいけなかったのかもしれない。膝が抜けてしまう。

「仕方ないの・・・」

ひやあ!

ダリがひょいと私を抱え上げ、横抱きにする。そんな私の姿を瀬良がクスクスと笑いながら見てくる。
「ちょ・・・や、やめて・・・」
一応抗議の声を上げてみるが、ダリはダリで『仕方ないやつ』と言わんばかりの顔でこっちを見てくる。そのままヨイショと器用に私を背中に回し、今度はおんぶの体勢にする。

うう・・・ハズい。

「ま、えっか・・・そのまま行こか」
土御門は呆れたのを通り越して笑えてきたらしい。なんとも言えない微妙な笑みを浮かべていた。

少し村の方に向かって歩くと、検問が設けられており、警察官が3名と黒スーツの男2名が傍に控えていた。村を閉鎖するために設けられている規制線だそうだ。黒スーツの二人は陰陽寮から派遣されている陰陽師とのことだ。

土御門が宮内庁のライセンス章を示すと、「お疲れ様です!」と警察官が敬礼で迎えてくれた。
黒スーツの二人は、土御門の顔を知っていると見え、黙礼をしてきた。

「異常、ないか?」

土御門が黒スーツたちに確認する。
「今のところ、村で目立った動きはないようです。
 例のモノも、感知されてしません。
 フェーズも・・・まだ2だと思われます。」

例のモノが、果たして疱瘡神なのか、品々物之比礼なのか、それともその両方なのかわからないが、とにかく、現状進展はない、ということだけが分かった。

フェーズ、という言葉は聞き慣れなかったが、何かの符牒だろうか?土御門はその言葉にしたり顔で頷いていた。

「あんじょうよろしう」

土御門がひらっと手を振って、規制線を超えていく。その後を瀬良、そしてダリが続く。私は相変わらず、ダリにおんぶされたままだった。

ははは・・・とナントカ笑って誤魔化そうとしたが、きっと変なやつ、どうしたんだろあの人、などと思われているに違いない。
それが証拠に陰陽寮の二人はともかく、警察官の人たちは露骨に視線をそらしていた。

は・・・恥ずかしい・・・。

穴があったら入ったまま、出てきたくなかった。
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