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天狐あやかし秘譚
第40章 一殺多生(いっさつたしょう)
☆☆☆
実は、この後も私達は村人に襲われ続けた。
建物の影から、急に中学生くらいの女子がふらふら出てきて、瀬良に抱きついてきたり、木の上から筋骨隆々としたマッチョな男が半裸姿で飛び降りてきたりもした。

みな共通しているのは、目が常軌を逸した光を放っていることと、背中に赤い筋が入っていることだった。

ただ、いかに赤咬病によって膂力が上がっているとは言え、所詮はちょっと力の強いだけの一般人だ。戦闘訓練を積んだ祓衆の精鋭である瀬良やそのトップたる土御門に敵うわけがない。先ほどみたいに一度に10人以上が襲いかかってくるならともかく、ひとりや二人が襲いかかってきた所で、彼ら二人が軽く倒してしまう。

「こりゃ村中が赤咬病に感染しとると思てええな。しかも全員フェーズ3や」

感染した時期にずれがあるはずなのに、軒並み同じ程度にフェーズが進んでいるというのは、おそらく疱瘡神の妖力だろう、とのことだった。

「言われてみれば、先程から妙な気配がありますね。村全体が疱瘡神の妖力の支配下にある・・・ということかもしれません。先程襲われた空き地あたりが境界線だったようです。」

瀬良が周囲を警戒するように頭を巡らせた。
ただ、気配は薄く広く漂っていて、疱瘡神がどのへんにいるかは分からないらしい。

いずれにせよ私達はすでに疱瘡神のテリトリーに入っている、ということのようだ。

「天狐はんはともかく、俺等は護符をきちんと身につけとらんと、あっちゅーまに感染してまうかもしれんな」

土御門がポツリと言った。シャツの裏に縫い付けられた護符に手を当てる。
これが例の、祭部衆に作らせた病除けの護符である。別に光ったりするわけでもなんでもないので、効いているかどうかわからないが、きっと効いているのだろう。そして、これが、文字通り私達の命綱となっている。

名越家までは、通常であれば30分も歩けば着くくらいの距離だろうが、襲われながら、倒しながら、縛り上げながらで歩いてきたので、たっぷり2時間はかかってしまった。

「やっと着きよった・・・。ここや。名越ん家」
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