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天狐あやかし秘譚
第40章 一殺多生(いっさつたしょう)
立派な門構えの家だった。門の向こう、少し離れたところに大きな屋敷があった。庭木もよく手入れされており、奥には農業用の機械を入れるためだろうか、家とは別の建物が見えるが、それすら綿貫亭と同じくらい?と思ってしまうほどの大きさだった。

さすが、村長さんの家、である。

「前はお手伝いさんがいたんやけどな」
きょろきょろと見回してみるが、人影どころか、人の気配すらない。
「この状況では、彼女らも・・・もしかしたら名越鉄研もすでに正気ではないかもしれませんね・・・」
「ま、そんときゃそん時や。とりあえず、お邪魔しましょか」

土御門はヅカヅカと門から中に入ると、言葉通り遠慮なく玄関の引き戸に手をかける。ガチッと手応えがあったようだ。当然のことながら、鍵がかかっている。

「緊急避難やで」

右手で刀印を作ると、鍵穴のあたりにあてがう。

「真金 断て」

小声で呪言を奏上すると、キィインと金属が超高振動で震えるような音が響く。
そして、バチン!と鍵が鍵穴ごと爆ぜてしまった。

「おじゃましまーす」

ガラリと戸を開く。
不法侵入、甚だしいが、確かに土御門の言うように緊急事態である。勘弁していただきたい。

扉の中は照明もついておらず、薄暗い。
「鉄研の部屋はこっちだと思います」
瀬良が先導する。どうやら数日前に来た時、抜け目なく屋敷の構造を頭に入れていたらしい。
やっぱり頭のキレる人は違う。

瀬良が示した襖を開くと、中は窓もない部屋で、廊下よりなお暗かった。一瞬、誰もいないのかと思ったが、目が慣れてくると、中央にじっと正座している男性がいるのが分かった。

「名越はん?」
正座して目を閉じている。真っ暗な部屋でただそうしてる姿は一種異様でもあった。死んでいる?などという不吉な想いが頭を巡ったが、土御門が声をかけた時、ピクリとまぶたが動き、ゆっくりと開かれた。

よかった、生きているし・・・多分、目の感じから言って感染していない。
ずっとここに閉じこもっていたことで、感染しなかった、ということなのだろう。

「刑事さん・・・」

名越は弱々しく声を上げた。先程は気が付かなかったが、だいぶ顔色が悪いように見える。熱っぽそうなわけではないので、感染初期・・・というわけではないようだ。
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