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天狐あやかし秘譚
第57章 自縄自縛(じじょうじばく)
人が『人鬼』という鬼になる事例は、実はさほど珍しくない。嫉妬、憎しみ、後悔・・・様々な陰の感情が心に鬱積すると、その人の体質や環境にもよるが、一定の確率で人は鬼となる。通り魔殺人や快楽殺人などのうち、鬼となった人間が犯人であるケースは結構多い。だが、通常、人が陰気を溜め込み、鬼になるには相応の時間が必要になる。源氏物語に出てくる六条御息所も鬼と化し、葵の上を呪い殺すまで数年を要しているではないか。

それがここまで早いとは・・・。
ただ、それについて、私にはひとつの仮説があった。

いずれにせよ、彼女が人を殺め、その肉の味を知ってしまう前になんとかしなければならない。人を殺せば永遠に人の道に戻ることはできなくなってしまうからだ。

「あなたはずっと、嘘をついていた・・・そうじゃない?」

私の仮説、それは、京依が天邪鬼(あまのじゃく)に堕ちた、というものだった。
天邪鬼とは、嘘をつき続け、自らの心を捻じ曲げ続けたものが化す鬼。玲子の話を聞き、私が真っ先に気づいたのは、京依のプライドの高さだった。他の人が行った国に自分も行ったことがあるとか、有名人に多く会ったことがある、などは自らのプライドを満足させるための嘘として典型的だし、『霊感がある』などと嘯くことも『特別な私』を演じるためのよくある手だった。他の人から一目置かれたい、尊敬されたい、そんな想いが強くなり、嘘に嘘を重ねている内に、自らを見失ってしまう・・・。

そんな見栄張りと嘘の果てに誕生した鬼が天邪鬼なのだ。

そして、彼女が今になって鬼になった理由、それは、玲子に彼氏ができたことだったと私は考えた。おそらく、京依は玲子が小野というクラスメートと付き合うことになるとは思っていなかったのではないだろうか。話の中でも『当たって砕けろ』などと促していることからも、その考えが垣間見える。そうなのだが、玲子との話題作りのひとつとしてクラスメートへの告白方法などを一緒に考えていたのではないだろうか。
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