この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
天狐あやかし秘譚
第58章 【第14話 辻神】死生有命(しせいゆうめい)

女は走った。
ガサガサガサ
たたったたた・・・
後ろから確実についてくるアレの気配を振り払うかのように。距離は大分詰まってきているようだった。まずい、まずい、まずい!
ふっと背中に風のようなものを感じる。
何?と思い、振り向くとそこには・・・、
大きく黒い翼のようなものを広げ、目に当たるところから赤い涙のようなものを流しているアレが・・・。
「ひぃいいいい!」
恐怖のあまり、距離を引き離そうと大きく地面を蹴った。道路はすぐそこだった。とにかくあそこに出なければ、その思いが先走りすぎてしまった。
目の前に両腕をかざして顔を守りながら、自分と道を隔てる藪を一息に飛び越えた。
越えた!
道に出た。懐かしいアスファルトの感触。
たすか・・・
その瞬間、女の顔をヘッドライトが強く照らす。
ブレーキ音、焦げ付くような匂い・・・
ゴン、という鈍い音。
何が起こったかわからない。身体が燃えるように熱くなり、全く動かなくなった。
誰かが遠くで何かを言っている。
伝えなきゃ・・・伝えなきゃ・・・
助けて・・・・助けて・・・
「・・・だした・・・ばけ・・・にげ・・・」
そこで、女の意識は途切れてしまった。
ガサガサガサ
たたったたた・・・
後ろから確実についてくるアレの気配を振り払うかのように。距離は大分詰まってきているようだった。まずい、まずい、まずい!
ふっと背中に風のようなものを感じる。
何?と思い、振り向くとそこには・・・、
大きく黒い翼のようなものを広げ、目に当たるところから赤い涙のようなものを流しているアレが・・・。
「ひぃいいいい!」
恐怖のあまり、距離を引き離そうと大きく地面を蹴った。道路はすぐそこだった。とにかくあそこに出なければ、その思いが先走りすぎてしまった。
目の前に両腕をかざして顔を守りながら、自分と道を隔てる藪を一息に飛び越えた。
越えた!
道に出た。懐かしいアスファルトの感触。
たすか・・・
その瞬間、女の顔をヘッドライトが強く照らす。
ブレーキ音、焦げ付くような匂い・・・
ゴン、という鈍い音。
何が起こったかわからない。身体が燃えるように熱くなり、全く動かなくなった。
誰かが遠くで何かを言っている。
伝えなきゃ・・・伝えなきゃ・・・
助けて・・・・助けて・・・
「・・・だした・・・ばけ・・・にげ・・・」
そこで、女の意識は途切れてしまった。

