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天狐あやかし秘譚
第58章 【第14話 辻神】死生有命(しせいゆうめい)
☆☆☆
「ちゃっちゃと占いますからね!」
土門は女陰陽師が祭祀の際に身につける白拍子と言われる衣装に着替えていた。いつものシャーマンチックな格好を見慣れているものだから、本格的な衣装を身に着けているとなんだか新鮮な気がしてしまう。

手には式占盤と言われている古来より伝わる占いの道具があった。十干十二支と星の配置、方位等から、主として物の在処や事柄の行く末を占うためのものである。

それらを持って、彼女は占部衆の部屋に奥に設えてある占術の専用の堂に入っていく。私は入ったことはないが、どうやら五角の形をした堂で、中央で式占盤を用いるらしい。そもそも、彼女の占い自体は秘術であり、占いを行っている様子を見ることは通常できないのだ。

「長くとも30分程度だと思います。」
占部の陰陽博士、冴守が言った。とりあえず、冴守が勧めてくれた椅子に座って待つことにする。

そもそも、辻神とは、主として淡路島や鹿児島県屋久島に伝わる怪異である。T字路や十字路のような『辻』に現れたり、T字路の突き当りの家に発生し、人々に不幸をもたらすモノと言われている。『神』とついているが、いわゆる信仰対象としての神ではなく、妖怪であり、この場合の神は古いものが変化した妖怪である『付喪神』についている『神』という言葉と似たようなニュアンスであるといえる。

古来より道とは異なる世界を結ぶものであり、それが交わる『辻』は危険な場所、魔所とされていた。特に多くの者、想いが行き交う都会では、そこに瘴気がわだかまり、鬼道が開くことすらあるのである。

なので、こういった辻には道祖神や地蔵などが立てられたり、また、道が村に入り込む境界には『久那土神』を祀り、邪悪なものが入ってこないような措置が施されたりもするのである。久那土神(くなどのかみ)は「来な処」(くなど)、つまり「来てはいけないところ」であるという意味を名に持つ神である。遠く神代の昔、イザナギが亡くなったイザナミを求めて黄泉に下り、そこから命からがら抜け出した際に、黄泉の国で化け物に変貌したイザナミに対して「こちらに来るな」という意味で杖を投げ捨てたという。この杖が神格化されたものが「久那土神」であり、その杖を「衝立の杖」(つきたつのつえ)という。
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