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天狐あやかし秘譚
第58章 【第14話 辻神】死生有命(しせいゆうめい)

☆☆☆
「これ、似合いますか?」
土門が薄い茶色のゆったりとした服を商品棚から取り、身体にあてがってこちらに見せてくる。柔らかそうな素材だ。ルームウェアなのだろうか?ゆったりとしたフォルムで飾り気がない。普段の不思議ファッションからすると、格段に大人し目である。
「私がこれ着て、部屋で一緒にカクテルとか飲んだら、襲っちゃいたくなります?それともこっちのほうがセクシーでしょうか?」
違う服だ。こちらは先程のと異なり、白ベースで肩紐で吊るすタイプで胸が大きく開いている感じのものだ。スリップドレスと言うらしい。一応その上から羽織るようなローブがついているが・・・まあ、確かに胸がある人が着れば、見る人が見ればセクシーなのだろう。
見る人が見れば、であるが。
「あの・・・土門・・・様?この時間は一体・・・」
先程から30分ばかり土門に連れ回されるがまま、ここ『表参道ヒルズ』の中のショップを引き回されている。土門はいたく楽しそうであるが、仕事でないのなら私は帰りたい。
私の呈した疑問に土門が顔を真赤にして反論してくる。
「な!・・・これは必要なことなのです!未だ怪異が現れるには少し時間があるのです。それまで・・・そう!地元住民の安全を守るべくパトロールです、パトロール!これも我々陰陽寮職員の大切な務めなのです!」
ものすごく言い訳がましい。
どこまで本気なんだ、この人は・・・。
はあ、と私はため息をつく。
要はまだ辻神が現れるまで時間がかかるから暇つぶしにつきあわされている、ということなのだろうと理解する。しかし、いつ、どこに怪異が現れるかは当然占った当人である土門しか知らないわけで・・・
仕方がないですね・・・
「次はあっちにパトロールに行くのです!」
ビシッと指さした先には、クレープを扱っているカフェがあった。
「あの、あざらしさんのクレープを買うのです!」
メニューを見ると、確かにアザラシの顔の形をした求肥に包まれたジェラートがあしらわれているクレープがある。
「あの・・・あれが辻神に・・・」
「関係あるのです!!」
はあ・・・
まあいいか。ちょっとお腹も空いてきたので、私もなにか・・・。
私もパストラミビーフとほうれん草のサレを包んだクレープを注文する。
「これ、似合いますか?」
土門が薄い茶色のゆったりとした服を商品棚から取り、身体にあてがってこちらに見せてくる。柔らかそうな素材だ。ルームウェアなのだろうか?ゆったりとしたフォルムで飾り気がない。普段の不思議ファッションからすると、格段に大人し目である。
「私がこれ着て、部屋で一緒にカクテルとか飲んだら、襲っちゃいたくなります?それともこっちのほうがセクシーでしょうか?」
違う服だ。こちらは先程のと異なり、白ベースで肩紐で吊るすタイプで胸が大きく開いている感じのものだ。スリップドレスと言うらしい。一応その上から羽織るようなローブがついているが・・・まあ、確かに胸がある人が着れば、見る人が見ればセクシーなのだろう。
見る人が見れば、であるが。
「あの・・・土門・・・様?この時間は一体・・・」
先程から30分ばかり土門に連れ回されるがまま、ここ『表参道ヒルズ』の中のショップを引き回されている。土門はいたく楽しそうであるが、仕事でないのなら私は帰りたい。
私の呈した疑問に土門が顔を真赤にして反論してくる。
「な!・・・これは必要なことなのです!未だ怪異が現れるには少し時間があるのです。それまで・・・そう!地元住民の安全を守るべくパトロールです、パトロール!これも我々陰陽寮職員の大切な務めなのです!」
ものすごく言い訳がましい。
どこまで本気なんだ、この人は・・・。
はあ、と私はため息をつく。
要はまだ辻神が現れるまで時間がかかるから暇つぶしにつきあわされている、ということなのだろうと理解する。しかし、いつ、どこに怪異が現れるかは当然占った当人である土門しか知らないわけで・・・
仕方がないですね・・・
「次はあっちにパトロールに行くのです!」
ビシッと指さした先には、クレープを扱っているカフェがあった。
「あの、あざらしさんのクレープを買うのです!」
メニューを見ると、確かにアザラシの顔の形をした求肥に包まれたジェラートがあしらわれているクレープがある。
「あの・・・あれが辻神に・・・」
「関係あるのです!!」
はあ・・・
まあいいか。ちょっとお腹も空いてきたので、私もなにか・・・。
私もパストラミビーフとほうれん草のサレを包んだクレープを注文する。

