この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
天狐あやかし秘譚
第63章 暗中模索(あんちゅうもさく)
「更に、こんとき、緋紅は自らを『イタツキとシラクモの父親』であり、かつ『大和の民の殲滅者』と名乗っとる。また、イタツキに対して自分らを含めて『中原の民』ちゅう言い方をしていた。つまり、あいつらは、その昔、大和朝廷によって追いやられた『まつろわぬ民』である可能性が高いと結論されたわけや」

土御門によると、まつろわぬ民とは、かつて、日本にいた先住民族の中で大和朝廷になびかなかった人たちの総称だそうだ。かつての日本には、複数の民族が暮らしていたが、その中でも力をつけた大和朝廷が次々と他民族を併合していったというのが私達の国の歴史だった。ほとんどの先住民族たちは大和朝廷に迎合して、大和の民と交わって現在の『日本人』になっていったが、先住民族の中でも、大和の民と頑なに交わらない一派がいたという。『中原の民』、はそういった迎合しなかった民、つまり、『まつろわぬ民』のひとつだった。文献によれば、彼ら『中原の民』は東北から蝦夷、現在の北海道に追いやられ、最後には滅亡した、ことになっていた。

しかし、その一族が生きていた、ということを今回の事件は示唆している。
あの緋紅という男は、自らの一派を古に滅んだはずの『中原の民』と名乗り、私達、現代に生きる日本人を殲滅すると宣言した、というわけなのだ。

殲滅する、というのが荒唐無稽な絵空事ではないことは、彼らが神宝を複数所有していることが如実に証明していた。神宝、つまり、十種の神宝は、その全てが『神の無限』を秘めている。どれひとつとっても、日本国民を全滅させうるだけの力を有しているのである。

「これから、陰陽寮では、正式に奴ら緋紅一派のことを『まつろわぬ民』と呼称することにする」

さて、ここからが本題や、と土御門が続けた。

「奴らがまた動き出したと考えられる事件があるので、その説明をしたい」

土御門から話を引き継いで、土門が事件概要の説明をし始める。

「先日、石川県君津市にある児童養護施設が何者かに襲われるという事件があったのです。最初は、石川県警が捜査に当たっていたのですが、どうも怪異絡みでは、ということで、県警捜査一課呪殺班から陰陽寮に捜査協力依頼があった、というところです」
/894ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ