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天狐あやかし秘譚
第64章 竜虎相搏(りゅうこそうはく)
更に遅れて広場に到着した私は、少し離れてこの光景をみることになる。全体を俯瞰的に見られたのが幸いしたのか、視界の上の端にいる『何か』に私が一番早く気付くことになった。『何か』と言ったのは、それがまるで空間がそこだけ滲んだような『空間の違和感』としかいいようのないものだったからだ。

あれは確か・・・。
いつだったか土御門が言っていた『高等な隠形術は直接視認すら妨げる』というやつでは?!

そう判断した時、私は声を上げていた。
「みんな!上!!」

その声でダリと九条も上方に目を向ける。そこでやっとわだかまる妙な気配に気づいたようだった。しかし、視認し、対処するより、敵の方が一歩動きが早かった。

「おっせーよ!・・・弾けろっ!小玉鼠(こだまねずみ)!!」

鋭い声が木の上から聞こえてきた。その声に応じるように、ダリと九条、それから御九里たちの足元から轟音とともにオレンジ色の光が炸裂する。

ドン、ドン、ドン、ドンっ!

ば・・・爆弾!?

それはあたかも複数の爆弾が彼らの足元で連鎖的に爆発したかのようだった。幸い、私の近くでは爆発をすることはなかったものの、オレンジの閃光が溢れた瞬間、顔にものすごい熱気を感じ、思わず腕で顔を覆う。次いで押し寄せた爆風が土煙を巻き上げ、あたりは一瞬にして何も見えなくなる。私もまた風圧に押しのけられ、尻餅をついてしまった。

これほどの威力のものが足元で直接炸裂したとしたら・・・!

「だ・・・ダリっ!!」

心配で声を上げるが、もうもうとする土煙の中、彼らの安否を知ることはできない。『ダリ!!』もう一度叫ぶ。20秒ほどしてやっとのことで土煙が薄くなり、周囲の様子が薄っすらとわかってきた。

良かった!

広場の手前、ダリは槍の石づきを地面に突き刺し、自らの周辺に薄白色に輝く障壁をまとっていた。おそらく結界を張ったのだろう。見る限り大きな怪我はないようだ。視線を右にやると、ダリの右手5メートルほどのところで、九条が左半身の衣服を吹き飛ばされ、膝をついていた。

大丈夫なの!?

そう思って見たのだが、不思議なことに怪我をしているのは左半身のみで、右半身はほぼ無傷のようだ。右手に持っていた短棒の先端にある青色の玉が鈍く光っており、その光に覆われている部分が無傷であるところをみると、あの玉が何らかの方法で彼を守ったのだろうと思えた。
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