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天狐あやかし秘譚
第66章 奸智術数(かんちじゅっすう)

「当たり前だ。次は我ひとりで行く。お前らは来るな」
バシン、と再びダリの肩口で雷が爆ぜる。
高ぶった妖力が、目に映るようだった。
「次はわいも出る。わいなら、ダリはんの妖力にも耐えられる」
ダリが少しだけ目を伏せた。おそらく、八つ当たりに近い感情の高ぶりを恥じたのだと思われた。
「綾音の声が・・・聞こえない。でも、生きてはいる。それだけは感じる。
異界にいるか、結界に囲われているか・・・はたまた」
眠らされているか
「我を呼ぶことができない状況にあるようだ。
綾音の声なら、この秋津島(注:日本列島の古代表現)の中、どこであっても我の耳には届くはずだ・・・」
二度と・・・。
土御門の耳にその部分だけが聞こえた。二度と、のあとも何かを言っていたが、それを聞き取ることはできなかった。
ぴりりりりり
不意に土御門の電話が鳴る。相手は瀬良だった。
「瀬良ちゃん?・・・っ!なんやて!?」
土御門は目を見開く。そして、電話を切ると、ダリに告げた。
「ダリはん、綾音はんの手がかりになるかもしれんことや。
敵が、連絡よこしてきた」
その言葉にダリの目が見開かれた。
バシン、と再びダリの肩口で雷が爆ぜる。
高ぶった妖力が、目に映るようだった。
「次はわいも出る。わいなら、ダリはんの妖力にも耐えられる」
ダリが少しだけ目を伏せた。おそらく、八つ当たりに近い感情の高ぶりを恥じたのだと思われた。
「綾音の声が・・・聞こえない。でも、生きてはいる。それだけは感じる。
異界にいるか、結界に囲われているか・・・はたまた」
眠らされているか
「我を呼ぶことができない状況にあるようだ。
綾音の声なら、この秋津島(注:日本列島の古代表現)の中、どこであっても我の耳には届くはずだ・・・」
二度と・・・。
土御門の耳にその部分だけが聞こえた。二度と、のあとも何かを言っていたが、それを聞き取ることはできなかった。
ぴりりりりり
不意に土御門の電話が鳴る。相手は瀬良だった。
「瀬良ちゃん?・・・っ!なんやて!?」
土御門は目を見開く。そして、電話を切ると、ダリに告げた。
「ダリはん、綾音はんの手がかりになるかもしれんことや。
敵が、連絡よこしてきた」
その言葉にダリの目が見開かれた。

