この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
天狐あやかし秘譚
第72章 侵掠如火(しんりゃくじょか)

さすがの妖怪たちでも、あれだけの火力の雷を浴びればほぼ全滅だろう。
まずい、逃げられる!
追いかけるべきか、と逡巡する。追いかけたところで、あの狐の火力に自分が敵うとは到底思えない。さりとて、女を取り戻せなければ身の破滅は免れない。そもそも、こんなふうに躊躇している間にも、お館様の取り巻き女の一人の『遠見』の力でこの状況がすでに把握されている可能性すらある。
1秒後には、胴体と首が泣き別れ、という可能性すらあるのだ。
仕方ねえ・・・。
クチナワが意を決して、宙空を舞うことができる妖怪『野衾』(のぶすま)を召喚しようとした時、
ドゴン!ドゴン!ドゴン!
立て続けに森で大きな爆音が響いた。
それはまるで、紛争地帯でミサイルが連続着弾する光景のようだった。凄まじい火力の何かが、地面に突き刺さり爆ぜているのだ。
「な・・・なんだ!?」
白いフラッシュのような光が炸裂し、続いて爆音が響く。
そのうち、森のあちこちから火の手が上がりだし、獣や鳥たちが一斉に騒ぎはじめた。
一体何だ!?何が起こっている?
誰か、別の何かとあの狐が交戦しているのか?
燃える森を眼下に見て、クチナワはただただ呆然と立ち尽くすことしかできなかった。
まずい、逃げられる!
追いかけるべきか、と逡巡する。追いかけたところで、あの狐の火力に自分が敵うとは到底思えない。さりとて、女を取り戻せなければ身の破滅は免れない。そもそも、こんなふうに躊躇している間にも、お館様の取り巻き女の一人の『遠見』の力でこの状況がすでに把握されている可能性すらある。
1秒後には、胴体と首が泣き別れ、という可能性すらあるのだ。
仕方ねえ・・・。
クチナワが意を決して、宙空を舞うことができる妖怪『野衾』(のぶすま)を召喚しようとした時、
ドゴン!ドゴン!ドゴン!
立て続けに森で大きな爆音が響いた。
それはまるで、紛争地帯でミサイルが連続着弾する光景のようだった。凄まじい火力の何かが、地面に突き刺さり爆ぜているのだ。
「な・・・なんだ!?」
白いフラッシュのような光が炸裂し、続いて爆音が響く。
そのうち、森のあちこちから火の手が上がりだし、獣や鳥たちが一斉に騒ぎはじめた。
一体何だ!?何が起こっている?
誰か、別の何かとあの狐が交戦しているのか?
燃える森を眼下に見て、クチナワはただただ呆然と立ち尽くすことしかできなかった。

