この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
天狐あやかし秘譚
第73章 動如雷霆(どうじょらいてい)

ぎゅっと、クチナワは拳を握る。
あのカダマシが一瞬で捕らえられた相手に・・・俺ひとりで・・・?
この瞬間、クチナワの脳内に、言い訳の言葉が無数に湧き上がる。
最悪なのは、俺も倒され、神宝を奪われ、しかも麻衣が敵の手に落ちることだ。
カダマシは死なない、殺されない。あいつなら一人でもなんとかする。
ここは戦略的撤退をして、いったん応援を要請して・・・
『行けよ』
ゾクリと、背筋が震えた。
お館様の言葉を、顔を思い出す。
あの、冷たい、俺達の命なんてこれっぽっちも考えていないような目。
ダメだ・・・ここで引いたら・・・確実に殺される。
クソ、何だってんだ。
俺は、面白おかしく生きていきたかっただけなのに!
俺を無視した奴らに一泡吹かせてやろうとしただけなのに!
いつからこんな狂った世界に、狂った事に関わるようになっちまったんだ!?
「ち・・・くしょう・・・」
震える足を押さえつけながら、クチナワは折れそうになる心をなんとか奮い立たせていった。
あのカダマシが一瞬で捕らえられた相手に・・・俺ひとりで・・・?
この瞬間、クチナワの脳内に、言い訳の言葉が無数に湧き上がる。
最悪なのは、俺も倒され、神宝を奪われ、しかも麻衣が敵の手に落ちることだ。
カダマシは死なない、殺されない。あいつなら一人でもなんとかする。
ここは戦略的撤退をして、いったん応援を要請して・・・
『行けよ』
ゾクリと、背筋が震えた。
お館様の言葉を、顔を思い出す。
あの、冷たい、俺達の命なんてこれっぽっちも考えていないような目。
ダメだ・・・ここで引いたら・・・確実に殺される。
クソ、何だってんだ。
俺は、面白おかしく生きていきたかっただけなのに!
俺を無視した奴らに一泡吹かせてやろうとしただけなのに!
いつからこんな狂った世界に、狂った事に関わるようになっちまったんだ!?
「ち・・・くしょう・・・」
震える足を押さえつけながら、クチナワは折れそうになる心をなんとか奮い立たせていった。

