この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
人外に愛される【短編集】
第3章 優しい死神
ある所に、とても優しい死神がいた。
優しい死神は長いフードの付いた黒いコートを被り。
顔には骸骨の仮面を付けていた。
死神達は、その風貌は似ているが、仮面を付けているのは優しい死神だけだった。
彼が何故仮面をずっと付けているかと言うと。
ずっと泣いているからだった。
『落ちこぼれは今日も泣いていて、魂を取ってこれなかったのか?』
先輩の死神は、1人で蹲っている優しい死神に声をかけた。
呆れた様な、揶揄う様な、そんな声に優しい死神は顔を上げる。
『………ちゃんと取ってきたよ…。』
優しい死神は手に持っていた青く光る魂を見せながら言った。
『だったらなんで泣いてるんだよ。』
先輩の死神は、優しい死神の頭を掴んでクシャクシャと髪を毟った。
『うっ……だって、魂取る時にその人が「まだ生きたい」って泣くから。』
くちゃくちゃな髪の毛のまま、優しい死神はまた泣き出した。
今度は本気で呆れたため息が、先輩の死神から聞こえた。
『いちいち、死んだ人間に泣いてたら、お前の涙が枯れちまうぞ。』
分かってる…。
自分が人間の魂を取るなんて、日常茶飯事だったから。
だけど優しい死神はその事にいつまで経っても慣れない。
死神は、人間の魂を取らないと、自分の寿命が無くなってしまう。
先輩の死神は、この優しい死神がいつか魂を取らなくなり、無に返ってしまうのではないかと心配だった。
『何がそんなに悲しいんだ?』
『…病気や事故で痛みを持ったまま死んでいった人の叫び声が怖い…。』
それがいつまで経っても慣れないのだった。
優しい死神は長いフードの付いた黒いコートを被り。
顔には骸骨の仮面を付けていた。
死神達は、その風貌は似ているが、仮面を付けているのは優しい死神だけだった。
彼が何故仮面をずっと付けているかと言うと。
ずっと泣いているからだった。
『落ちこぼれは今日も泣いていて、魂を取ってこれなかったのか?』
先輩の死神は、1人で蹲っている優しい死神に声をかけた。
呆れた様な、揶揄う様な、そんな声に優しい死神は顔を上げる。
『………ちゃんと取ってきたよ…。』
優しい死神は手に持っていた青く光る魂を見せながら言った。
『だったらなんで泣いてるんだよ。』
先輩の死神は、優しい死神の頭を掴んでクシャクシャと髪を毟った。
『うっ……だって、魂取る時にその人が「まだ生きたい」って泣くから。』
くちゃくちゃな髪の毛のまま、優しい死神はまた泣き出した。
今度は本気で呆れたため息が、先輩の死神から聞こえた。
『いちいち、死んだ人間に泣いてたら、お前の涙が枯れちまうぞ。』
分かってる…。
自分が人間の魂を取るなんて、日常茶飯事だったから。
だけど優しい死神はその事にいつまで経っても慣れない。
死神は、人間の魂を取らないと、自分の寿命が無くなってしまう。
先輩の死神は、この優しい死神がいつか魂を取らなくなり、無に返ってしまうのではないかと心配だった。
『何がそんなに悲しいんだ?』
『…病気や事故で痛みを持ったまま死んでいった人の叫び声が怖い…。』
それがいつまで経っても慣れないのだった。