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白昼夢
第1章 プロローグ
なので、医師の勧めもあり障害者手帳を取得し、障害者年金を貰う事にした。
今はその障害者年金と今まで働いて貯めて来た預貯金で生活している。
決して豊かな生活ではなかったが、不満はなかった。
ただ、貴博がいない現実がとても辛かった様に感じる。
私の自宅は横浜市の某所だ。
貴博の自宅は私のご近所だった。
生前、私は良く貴博の自宅へと遊びに行っていた。
貴博の自宅に行っては、一緒に映画を観たり、お互いの好きなアーティストの音楽を聴いたりしていた。
冬になると貴博が我が家に来ては一緒にお鍋などをして愉しい時間を過ごしたものだ。
一緒に温泉旅行などにも行ったと思う。
時には激しくお互いを求め合い愛し合ったこともある。
そんな事を考えると今でも身体の奥深くから熱い物が込み上げて来て私の身体を濡らすのだった。
今年で、貴博が亡くなってから丸3年が経つ。
3年と言えば一区切りだと言えるだろう。
私の心も区切りが出来るのだろうか。
貴博を忘れる事はできない。
でも、前に進まないといけないと思っていた。
そんな事を思っている頃に何の因果か、彼と出会ってしまう。
私よりも25歳も年下で親子程に年の離れた35歳の壮年だった。
その壮年との関係はまるで白昼夢を見ているかのようだった。