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許される条件
第14章 願い
あの日。
高木さんから夫の、優君の裏切りを伝えられました。

美しい女性、サヤカさんとキスしているシーン。
多分、それ以上のことがあったのは明白です。

頭の中が真っ白になりました。

怒りで体中が熱くもなったけど。
高木さんの狡猾な笑みをひそめた表情に。

大学時代のことを思い出したのです。

夫は、優君は罠に堕ちたのかもしれない。
微かな望みを頼りに。

私は叔父の藤田さんを訪ねたのです。

数か月前に。
アメリカから帰国した叔父はVR研究の第一人者でした。

今度、日本で新商品を売り出すということで帰国したのです。
画期的なヴァーチャルシステムで、まるで時空を旅するほどのものだそうです。

夫が、優君が私に飽き始めていることとか。
親にも言えない悩みを聞いてくれました。

実は。
幼い頃から。

私は叔父が好きだったのです。

私の初恋の人だったけど。
若くして叔父はアメリカに渡り、世界でも有数の物理学者になったのです。

「そうですか・・・」
叔父は変わらない優しい口調で私を慰めてくれました。

もう、離婚しかない。
そう訴える、私に言ってくれたのです。

「最後のチャンスを与えてみませんか?」
涙で滲んだ瞳で私は叔父を見上げました。

「この物語で、彼が逃げるなら・・・」
大きな手が私の頬を撫でてくれます。

「その時は・・・」
言葉の続きを叔父は言わずに、私を寝室に残し、去っていきました。

そんな叔父が。
私は昔から、大好きだったのです。
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