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許される条件
第2章 いらだち
「私じゃ・・・ダメなの?」
こんな事を絵美に言ったらムキになってこう言われるだろう。

(そう、ダメなんだ・・・)

心の中で何度も呟いている。
僕はもう普通のセックスには飽き飽きしているんだ。

確かに妻は美人でスタイルもいい。
形のいいバストだってDカップはあるだろう。

でも付き合って7年にもなる僕にとって、抱きたいと思うほどトキメキが沸かない。
キスしても美味しく感じられないんだ。

これじゃあ、まるで倦怠期を迎えている中年夫婦のようじゃないか。
TVなんかでグラマーなアイドルを見るたびに思うんだ。

(一発、やりてぇっ)

そう、誰だっていいんだ。
口説いて、恋に落ちてみたい。

そして、獣みたいに求め合えれば最高なのに。

飽きちゃったんだ。
僕達、夫婦のセックスに。

お嬢様育ちの絵美は極端な恥ずかしがり屋だ。
照明を消した状態でしか裸にもなってくれない。

体位も未だにノーマルだし。
今時、信じられないって?

でも本当だからしようがない。
AVビデオなんてもってのほかさ。

この前、一緒に観て興奮しようと借りてきたけど、怒って暫く口もきいてくれなかった。
そんな雰囲気が出来ちゃうと夫婦なんて、かえって変わりにくくなるものかもしれない。

そう、たとえば。
世の中の夫婦で妻にAVのように愛撫してもらっている旦那様は、どれくらいいるのだろうか。

少なくとも僕でない事は確かだ。
他の奥さんは、してるのかなぁ。

みんなどうやって説得したのだろうか。
イヤ、そうじゃない。

みんなだって苦労している筈さ。
じゃないとあれだけフーゾクが、はやるものか。

さすがにお金を出してまで、して欲しくはないしなぁ。
それは半ば意地なのかもしれない。

一度でも妻にしてもらえれば、呪縛が解けるのかもしれないけど。
あの童貞は絵美にあげるって決めているんだ。

でも、やっぱり無理だろうな。
僕の奥さんがそんな事、する筈無いもの。

雑誌のエッチな記事を見てるだけで、文句を言う位なんだから。
このまま歳を食って、しょぼくれた中年夫婦になるのかなぁ。
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