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許される条件
第2章 いらだち
「これでも私はデートのつもりなのよ。
お化粧だって一生懸命してきたのに・・・」

力無く店の喧噪にとけ込んでいった。

これで何度目だろうか。
僕はすまなそうな表情で妻を見つめた。

よそ行きでは無いにしろ小綺麗に着飾った姿は、確かに場末の焼鳥屋では浮いて見える。
薄いピンクのスーツの胸元はV字にカットされてチラリと谷間を覗かせている。

くびれたウエスト、それに畳に座っているから分かりにくいけど、折りたたんだ足は伸ばすと長い筈だ。
家事も料理も得意で、性格も優しい絵美は僕にとって申し分のない妻である。

(だけど・・・)
僕は最近感じる倦怠感に包まれながら心の中で叫んだ。

(どうしようも無いじゃないかっ・・・)

勿論、妻を愛しているさ。
かけがえのない人だと思う。

でも26歳の僕は、今が男盛りなんだ。
そう、種の本能というべきか。

何か得体の知れない欲望がムクムクと体中に広がってくる。
発情しているんだ。

ローンもないし比較的サラリーの良い会社に勤めているから小遣いには不自由しない。
でも、フーゾクなんかには興味が無い。

何か、むなしいじゃないか。
やっぱり、愛がなくちゃあ。

仕事も忙しいし、責任も重くなっている。
僕は爆発しそうだった。

何か突拍子の無い事をしたい。
例えば気の遠くなるようなヘビーな体験をしたいんだ。
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