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過去を塗りかえて
第11章 条件
「だって、そうでしょう・・・?」
冷静な男の口調が憎らしい。
「貴方と今の旦那様との関係が無くなる。
当然、娘さんは生まれないのです・・・」
「ゆ、唯奈が・・・」
絵美の瞳から涙が溢れていく。
残酷な条件に心が震えている。
「そ、それでも・・・」
唇を噛んで絵美は声を出す。
「今のままでは、唯奈も不幸になってしまいます」
まるで自分に言い聞かせるように言葉を繋ぐ。
「優君と結ばれれば、きっと・・・」
こじつけだとは分かっていても、気持ちは押さえることは出来なかった。
「よろしい・・・」
男は力なく声を返すと、絵美の肩に手を置いた。
「では、過去に戻りましょう・・・」
男の手の温もりに涙で滲んだ眼差しを絵美は向けながら、コクンと頷くのであった。