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卑弥呼の恋
第1章 木漏れ日
「はぁっ・・はぁっ・・はぁっ・・・」
荒い息と共に、影が足元を走る。
緑の草花を踏みしめる少女の足元に。
もう一つの影が近づいていく。
「捕まえたぁ・・・」
抱きしめる温もりに少女の足が止まる。
「ズルいぞぉ・・・」
振り返る眼差しが鋭くて、疾風(はやて)はいつものように力が抜けそうになった。
不思議な力。
幼い頃から少女が発する光。
その瞳を見た瞬間。
何も出来なくなってしまう。
どんな大人でも。
だから。
少女は選ばれた。
この国の。
王女として。
だが。
今日は違う。
少年にとって。
今を逃せば。
二度とこの温もりを感じることは出来ないのだ。
だから。
ギュッと、した。
「めい・・・」
幼い頃から慣れ親しんだ名前。
だけど。
明日からは違う名に変わる。
大きな瞳の。
愛らしい少女からは想像もつかない。
少年から遠ざかっていく。
尊い呼び名。
そう。
人々が敬う。
神の名。
少女は。
明日から。
卑弥呼。
そう、呼ばれるようになるのだ。
荒い息と共に、影が足元を走る。
緑の草花を踏みしめる少女の足元に。
もう一つの影が近づいていく。
「捕まえたぁ・・・」
抱きしめる温もりに少女の足が止まる。
「ズルいぞぉ・・・」
振り返る眼差しが鋭くて、疾風(はやて)はいつものように力が抜けそうになった。
不思議な力。
幼い頃から少女が発する光。
その瞳を見た瞬間。
何も出来なくなってしまう。
どんな大人でも。
だから。
少女は選ばれた。
この国の。
王女として。
だが。
今日は違う。
少年にとって。
今を逃せば。
二度とこの温もりを感じることは出来ないのだ。
だから。
ギュッと、した。
「めい・・・」
幼い頃から慣れ親しんだ名前。
だけど。
明日からは違う名に変わる。
大きな瞳の。
愛らしい少女からは想像もつかない。
少年から遠ざかっていく。
尊い呼び名。
そう。
人々が敬う。
神の名。
少女は。
明日から。
卑弥呼。
そう、呼ばれるようになるのだ。