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第8章 オークションの舞台裏

誠社長が心結の肩に手を回してきた。

そして低くて威圧感のある声が耳元で囁かれる。
まるで脅しで諭すように。

「じゃあ、どうするんだ？謝ったくらいで許してもらえる話じゃないってわかるよな？
あいつらも大金を払って、お前を心待ちにしてるんだ。
アイドルならわかるだろ？ファンを裏切ったらダメだよな？」

誠社長の言葉が心結の胸に突き刺さる。

自分の生活を犠牲にして……
私に何度も会いに来てくれるお客さん達……
裏切るなんて……

たかが10代半ばの女の子。
大人に言われれば、そんな気分になって当然である。

「ファンの方を……裏切りたくありません……でも……」

そう呟いて、ふと視線をテレビに向けた。
そこには会場から逃げ出そうとしていた智樹の姿が映っていた。

[ビビビ……ロックを解除してください]

という電子音がテレビから聞こえる。

………智樹くん……？

その映像を見た優斗が首を傾げ、誠社長に問いかける。

「あいつ……誰だ？何でこんな所に紛れ込んでやがる？邪魔なハエがいるなら、少し痛い目を合わせようか？なぁ親父？」

その言葉を聞いて、心結はとっさに優斗の腰にしがみついた。

「待ってっ!!あの人は……私の大切なファンの方なんですっ!!お願いです、帰らせてあげてください……」

必死に懇願する心結。