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何度タイムリープしても……初恋の幼馴染は誰かに純潔を奪われる
第8章 オークションの舞台裏
心結は思い出していた。

智樹が自分を逃がす為に、黒服とやりあっていた光景。

「いつか一緒に幸せになろうなっ!!」と言って笑っていた智樹の表情。

そして会場に戻ってきた時に、黒服が智樹を担いで歩いている姿。

全てがまだ脳裏に焼き付いている。

そんな智樹の姿が、心結の心を締めつけていた。

すると誠社長が嬉しそうに言った。

「涼……を呼んでくれないか?姫」

「ええ~?呼んでどうするの~?」

姫は明るい声で答えるが、誠社長の意図に気付いて、頬を膨らませる。

「前に辞めた子の時も、私の担当使ったじゃーんっ!!涼だけは特別なんだからやだ~」

だいたいこの手の女は、その時の彼氏や担当(指名しているホスト)を、今回は特別だと思っているものだ。

すると誠社長が、帯がされた1万円札を束のまま手渡した。

「これで二人で美味いものでも、食いに行けばどうだ?」

頬を膨らませていた姫は、一瞬で笑顔に戻ってスマホを耳にする。

「もしも~し?涼?急だけど、こっちに入ってきて?」

姫の電話が終わり、心結はその場で無力感に苛まれたまま、どうしていいのかわからなくなった。



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