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第9章 あの男が再び!!売れないホスト&ＡＶ男優ー涼ー

涼と手を繋いでステージに向かう心結。

それを見た客の大人達はざわついていた。
見知らぬ男と一緒に入ってきたのだから。

Vネックの白シャツに、黒のサマージャケットを羽織ったホストのプライベートの見本のような男。

涼(りょう)18歳

半年前に高校を中退して、ホストクラブに勤務し始めた駆け出しのホスト。
爽やかな笑顔にメイクを施して、中性的な顔立ちの男。

黒服がステージにマットを用意する中で、優斗のマイクの声が会場に響いた。

「これより心結の、まな板ショーを始めたいと思います。観覧希望の方は、30万円お願いします」

好奇な目を向ける大人達が、一斉にスマホを触り出す。

心結は一瞬でも、そんな金額を払うことなく帰ってくれれば……。と思ったが、誰一人帰る様子はない。

そしてノートパソコンを眺めていた優斗が、全員の参加を確認すると、マイクを手にした。

「それでは心結の、まな板ショーを始めますっ!!」

その声に合わせて、会場が大きな歓声に包まれる。

「心結ちゃんがんばれーっ!!」

「よっ!!1番人気の心結ちゃんっ!!可愛い所を見せてくれよ～」

そんな声が飛ぶ中で、涼は緊張して棒立ちになっている心結の耳元で囁く。

「じゃあ……始めるよ……？」

心結は緊張した面持ちで、小さく頷いた。

これは智樹くんを助ける為……

そして……
この涼って人が、何かを変えてくれるかも知れない……

その為に我慢するんだ……

心結は涼にされるがまま、目を閉じてキスを重ねた。

「ちゅっ……」