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第9章 あの男が再び!!売れないホスト&ＡＶ男優ー涼ー

涼の唇が触れた瞬間、心結の胸の奥が熱くなった。

「……っ」

会場のざわめきが一層大きくなり、視線が自分に突き刺さるのを感じる。

でも、そんな外の音は次第に遠くなり、心結の意識は涼との距離に集中していった。

包まれるように抱き締められ、唇から伝わる柔らかさに、どこか懐かしい感情が胸に込み上げる。

この人なら……

そんな希望が微かに浮かんでは、消えていく。

涼の優しく触れたキスが、唇から離れると、そっと目を開けた心結の視線の先に、彼の瞳があった。

涼さんの綺麗な目……

吸い込まれてしまいそう……

そんな心結に優しい口調で話しかけてくる。

「緊張してる……？」

ニコッと微笑む涼に、頬を染めて少し視線を落としてから、コクッと頷いた。

緊張してる……

でも……

抱き締められると……

なんか安心する……

心結も自ら涼の腰に手を回して、恥ずかしそうに視線を上げると、涼が呟いた。

「これまで見た中で……一番可愛いよ……」

アイドルファンから、何度も言われ慣れていても嬉しい言葉。

それが抱き締められて、甘く囁かれると、胸が高まっていくのを感じた心結は、もう一度目を閉じた。

涼にキスされる事を自らも望んで。