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第13章 月末の売り上げバトル

智樹の初体験から二週間が経った。

7月29日。

プリンスロードは月末の締め日に向け、店内は熱気に包まれていた。

ファンたちは、今月貯めたポイントが無効になってしまうので、特典をもらう為に、店内に殺到する。

アイドル側も、月末の売り上げが来月の給料に直結するため、どのメンバーも懸命にファンを引きつけ、売り上げを競っていた。

この1ヶ月の売り上げで決まるのは、収入だけではない。

売り上げの金額が、人気のパロメーターであり、１つでも順位を上げようと、激しいバトルが繰り広げられているのだ。

上位のメンバーほど、新曲でセンターを務めたり、ソロパートが増えるなど、待遇が格段に良くなる。

そして何より勝者のメンバーがいるグループには、新曲とＭＶが作ってもらえて、そのＭＶがSNSのＣＭで流してもらえる。という特典もついている。

知名度拡大の大きなチャンスだった。

7月の現在の売り上げNo.1は玲音。

僅差でNo.2の智樹が、No.3とは大きく差を開き、玲音の背中を見据えていた。

玲音が控室でふと呟く。

「お前も頑張ってるみたいだな、智樹。でもＣＭは俺達が貰うからな？」

「玲音さんに、簡単に勝てるとは思ってないですけど、最後まで頑張りますよ」

実際、姫との初体験の後の2週間で、智樹はまるで別人のように変貌を遂げていた。

玲音から伝授された、【女の子を甘やかす話術】

そしてあの日、姫から教わった、【女の子への気遣いと、乙女心をくすぐる甘え方】

智樹はそれらの武器をフル活用して、立て続けにファンとの2時間デートをこなしてきたのだ。

その数、10回以上だ。