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何度タイムリープしても……初恋の幼馴染は誰かに純潔を奪われる
第21章 スイートルームでの出来事~龍一~
龍一の顔から余裕が消えて、声が震えていた。

「文冬が……本当に……?」

記者の久保田はにこやかに微笑みながら、ポケットから小型のレコーダーを取り出して見せた。

「ええ、涼さんと隆之社長の話も全部録音済みです。こちらに、あなたの『上納システム』についての言葉もバッチリ入ってますよ。いやあ、今時こんな時代錯誤な人がいるなんて驚きです」

「ふざけるなっ!!」

龍一は叫びながら壁を叩いた。

だが、その声は震えている。

怒りなのか、失望なのか、それすらも分からない。

智樹は心結をそっと椅子に座らせると、龍一に近づいていく。

「権力と金にモノを言わせて、誰かが犠牲になるなんて、今の社会では通用しない。犠牲を払うのはお前の方だよ」

久保田も智樹の話に軽く頷いた。

「そうですね。それに、今時こんな話が世間に出たら、あなたも事務所も終わりでしょう。まあ、記事を書かせてもらいますので、ゆっくり話を聞かせてもらいますよ?」

そう冷たく言い放った。

「……くそっ、こんなことで俺を潰せると思うなよ!」

龍一は怒りに任せて叫んでいるが、もう今の時代、この手の話で逃げ道などない。

その場に座り込み、顔を覆った龍一。

絶望を感じさせるその姿は、今までの威圧感など微塵も感じさせない、まるでボロ雑巾のようだった。

智樹は龍一の姿を見て、勝利を確信してから、心結の元に戻って、優しく声をかける。

「もう大丈夫だよ。帰ろう……」

心結は智樹を見上げ、震えた声で呟いた。

「本当に……本当にありがとう……智樹くん……」



その数日後、隆之社長と涼が作り上げた上納システムは、文冬出版社の記事によって、世間に晒されることとなったのだった。


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