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教育係の優しい性教育
第1章 優しい性教育
「いらっしゃいませー」

来店した客にあいさつをする。
客は、レジにいる俺には目もくれず、棚に並べられたオニギリに向かって歩いていった。

コンビニ店員なんて、やりがいのない仕事だよな。

胸に付けられた「横町」の名札を、意味もなく手でいじった。

俺がコンビニ店員になって1年くらいが経つ。
といっても、ただのアルバイトではない。
父がオーナーを勤めるコンビニに雇われているのだ。
だから、俺は店員の教育など、管理的な立場を任されている。
いずれは父からこのコンビニの経営を任せてもらえる予定だが、それはいつになるやら……。

「雄人」

父……つまりオーナーから呼びかけられた。
「はい」と返事をしながらそちらを見ると、父の隣に若い女の子が立っていた。
落ち着きのある栗色のロングヘアー。
ぱっちりとした大きな瞳をしていて、目が合うとニコッと笑いかけてくれた。
とてもかわいい女の子だ。

父が口を開いた。
「雄人、こちら小山田 鈴(おやまだ すず)さん。今日からうちの店で働いてもらうことになったから、いろいろ教えてあげてくれ」

「小山田です。高校1年生で初めてのアルバイトなんですけど、精いっぱいがんばります。よろしくお願いします」

小山田さんはぺこりと頭を下げた。
ふんわりといい香りがした。

「よ、よろしく! 俺は横町 雄人(よこまち ゆうと)。20歳。オーナーの息子だからさ、何でも聞いてよ」

俺はドキドキしながらあいさつをした。
小山田さんがにこりと笑う。

今日から仕事が楽しくなりそうだ。
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