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お題小説 カレイドスコープ
第1章 kaleidoscope
 23

「それに、恥ずかしながらさ…
 俺も似たようなモンだからさぁ…」


 そうなんだ…
 俺はあの6年前の事件以来…
 仕事にも、日々の生活にも絶望してしまい、すっかり無気力で自堕落な想いに陥り、惰性的で夢も希望も失ったヤケ気味な毎日を送ってきていたから。

 その結果、ましてやお金に、日々の生活費にも困窮し、ばあちゃんに仕送ってもらっていたくらいであったのだから…
 女に対しても、いや、とても風俗になんて通える余裕など全くなかった。

「あの事件から…俺には何も無し、色気なんて尚更ナシだからさ…
 茉優と変わらない、いや、もっとひどいんだよ…」

 そう、だからソロ活動しかしていなかった…
 と、自虐的な笑みを浮かべてしまう。

「え、そ、そうなんだ?
 じゃ、だったらさぁ、大丈夫なの?」
 すると茉優が少し驚いた感じで訊いてきた。

「え、な、なにが?」

「うん、そ、そのぉ、アレ、アレよぉ」

「アレって?」

「アレはアレよ…
 あの…そのぉ、アレはちゃんと勃つの?」
 なんと、そんな事を訊いてきたんだ。

 そして、それは本気らしい、いや、本気で心配して訊いてきたようである…

「あ………うん、あ、いや…」

 俺はそんな茉優の問い掛けに、驚きを通り越して呆れて…

「大丈夫なの?」

 いや、その本気で心配してくれて、訊いてきてくれているその茉優の顔を見て…
 堪らなく、可愛いく、いいや、愛しく感じてしまったのである。

 そして…

「うん、もちろん大丈夫だよ…
 だってさ、ほら…」
 と、俺はそう言って茉優の手を取り、自分の股間に導いていく。

「えっ、あっ、ん、や、やだぁ」
 
 そう俺は、俺のアソコは…
 さっきからの茉優との抱擁や、数回のキスにより…

 そしてなにより微かに香ってきている茉優の甘い香りに…

 秘かに昂ぶり、疼き、勃っていたのだった。

「じ、実は、さっきからずうっとさ…
 久しぶりの茉優を感じちゃってさぁ…」

 俺は少し恥ずかしかった…

「え…あ、そ、そうなんだ…でも…」

 すると茉優は…

「で、でも、嬉しいわ」
 なんと茉優は、目を潤ませながら、そう優しく囁いてくれたのである。

 そして…

「ねぇ…あのさぁ…」





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