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girlslove
第1章 【一目惚れ】
「いらっしゃいませ」と受け付けの声が聞こえてきた
此処は駅チカでもなければ、広告塔ともなるビルの中でもない広い古民家をリノベーションした美容室
一応それなりにお客様はいらっしゃって予約も埋まってきてる
オープンしてまだ2ヶ月
美容師もアシスタントたちもようやく慣れてきた頃
「あの、予約してないんですけどカットとカラーいけますか?」
肩まで伸びたストレートヘア、がっつり金髪のインナーカラーが入ってる
細身の骨格ストレート、肩出しのチューブトップにデニムスカートで韓国アイドルみたい
大きなサングラスに赤いリップが映えてる
一瞬、誰もが手を止めて見惚れてしまったと思う
受け付けの子も固まってる
「あれ?お姉さん?予約で埋まってますか?」
もう一度声を掛けられてようやく我に戻る
今日のスケジュールを確認しながらカラーの種類を聞いていた
私も勝手に身体が動いてしまったというか、導かれるように彼女の前に立つ
巡り合わせとはこの事を言うのか
ちょうど私の次のお客様が急用でキャンセルされたばかりだった
受け付けの子に「カットとカラーなら私いけますよ」と言って再び彼女を見たら
その大きなサングラスを取って嬉しそうに微笑むんです
「今日しかないから嬉しい、助かります」って声まで綺麗
近くに寄ると何だか良い匂いするし、モデルさんかな?と思ってドキドキした
空いた席にご案内する時も他のスタッフが羨ましそうにチラホラ見てる
めちゃくちゃ緊張するけど、他のお客様同様、いつもの私で施術する
「担当させて頂きます、成島 碧唯(ナルシマアオイ)です」
「……宜しくお願いします」