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第4章 【爪痕】

分かんない……分かんないよ


伝えた住所に停車したタクシーを降りてビルの中に入っていく
此処の7階……本当だ、ダンススタジオって書いてある
エレベーターを降りるともうすでにノリノリな音楽が聞こえてきてたくさんの人……生徒さんなのかな？
いくつかの部屋から音が漏れてきてるのか


「あ、もしかしてせりさんの？」


そう声を掛けてきてくれたのは黒髪で切りっぱなしボブのお目々ぱっちりで可愛い女の子
流石ダンス女子、割れた腹筋が目立つショート丈Tシャツにスゥエットパンツだ


「はい、成島碧唯です」


「聞いてますよ、え、めちゃくちゃ可愛い〜！」


どうやら彼女が案内してくれるらしい
凄いところに来ちゃったな……
でもせりさんに会えるなら何でも良い
ていうか、私よりあなたの方が可愛いです
絶対10代ですよね？お肌ピチピチだもん


「あ、私、チカコって言います、チカでもチーちゃんでも何でも呼んでください」


「あ……はい」


「んふふ、せりさん今、撮影してるところかもです」


「生徒さん達の？」


「はい、せりさんはずっとアドバンス向けなんでめちゃ見応えありますよ、ほら、あの人集りがそうです」


奥の部屋を指差すので見ると、ドアも開放していて見学者がズラリと並んでいた
アドバンスとは上級者チームの事
だよね、ダンスのスキルが半端ないもん
凄い、初めて生で見る


「あ、せりさんも入るっぽいです、真ん中に居るのがせりさんです！」


え？え？ていうか、皆、同じような黒Tシャツに黒のパンツなんだけど！？
見分けつくかなって思ったけどそんな考えは早くも覆された
定点カメラで撮影しながらの一発撮りらしい
ギャラリーも口を閉ざして見守る中、始まった音楽に合わせて踊り出したダンサー達に一瞬で目を奪われたの