この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
girlslove
第4章 【爪痕】
「俺だったら碧唯を幸せに出来るよ……今、盛り上がってるだけだよな?」
「は?何言ってるの?離してよ」
「諦めようって思った、碧唯が幸せになるならって……けど、相手を知った今はちょっと黙ってられないよ」
本当に分かってるの…?
痛いよ、離してってば
「私が誰を好きになるか淳太に関係ないし、自分の幸せは自分で決めるよ?」
グッと握っていた力はスッと弱まった
「だよな…」って力ない一言
自分らしくない振る舞いに本人が一番戸惑っている感じ
頭ガシガシ掻いて「ごめん!」と項垂れる
「う、うん……行くね?」
「碧唯、本当にごめん…」
どうかしてた…って顔で不安そうに見てくる
丁度、店の前にタクシーが到着した
行こうとしたけど足が止まる
振り向いて私は、真っ直ぐ淳太に伝えるの
「私、こんなに本気になれたのは初めてなの……例え誰に止められようと絶対に譲れない、だから淳太の気持ちには応えられない、ごめんなさい」
そう言うだけ言って、タクシーに乗り込んだ
真っ直ぐ前だけを見て振り返らない
淳太を一人残して走り出す
びっくりした……急な展開で頭が追いついてこないよ
え、そんな傾向あった?急過ぎない?
今まで2人きりの時も何度かあったけど、今日のはガチだよね…?
それに、相手が分かったって?
せりさんだから黙ってられないって事?
確かにそこをとやかく言われる事はないと思うんだけど、いつもの様子じゃない淳太が一瞬怖かった
あんな付かず離れずだった淳太が、初めて駄々をこねたような……
力も当たり前だけど勝てなかったし
ビクともしなかった
私……間違ってなかったよね?
ちゃんと、断れてたよね?
次に淳太と会ったら普通で居られる?
また周りに気を遣わせちゃうんだろうか
何が正解だった…?