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異世界転生したら王子に溺愛されて困っています·͜· ♡
第9章 婚約パーティー前夜の儀式 ①
魔法が使える世界だと知ったのには驚いたけれど、ブランシュの存在が貴重な存在のようだった。
「この国では、癒の魔力を持つ女性は女神の様な存在なんだよ。代々、癒しの力を持つ女性は王族と生涯を共にしなければならない···国の平和を守る為に。その国の、平和の象徴として」
要約すれば、癒しの力は貴重だから城で大事に匿ってますって事?それも、殿下と無理矢理結婚させられて妃にされて、ろくな自由も無い···それじゃあブランシュちゃんも嫌がるはずだわ。
好きでも無い男の人と、結婚させられるなんて。
けれど、被害者はブランシュちゃんだけじゃなくて、殿下も一緒で···。
他人事みたいだけれど、なんだか可哀想に思えてしまう。
「···。はい、そうですか。と正直、素直に頷けない内容ですね」
「俺もそう思うよ」
しばらくの沈黙が続いた後、私は口を開いた。
「···、所で。殿下は私に何用でこちらにいらしたのでしょうか?お話が長引きそうでしたら、お茶を御用意致しますが」
「君がお茶を入れてくれるのは魅力的だけど、今はお茶を飲みに来たんじゃないんだ」
殿下の瞳が細められて、私は漠然とした危機感を覚えて一歩後ずさる。
「では···!?」
質問をする前にあっという間に距離を詰められたかと思えば、殿下の柔らかな唇の感触が、私の唇に···。
ちゅっ、と小さなリップ音をたてて離された唇。
「結婚前の、花嫁に逃げられないようにするための儀式に来たんだ」
絡められた指先。
「···っ、!?」
私は、背後ににあったベッドへと、優しく押し倒されていた。