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雨が好き
第31章 天体観測
【天体観測】

「星を見るには月のない夜がいいんです」
蒼人さんが言った。

ナイトアクアリウムに行ってから数日後、蒼人さんが、天文台にいきませんか?と誘ってくれた。

いつものように、『みなと町』のカウンター。
蒼人さんはお客さん。私は店員さん。

蒼人さんによると、市の天文台は特定の日に市民に望遠鏡を開放しているのだそうだ。
その日には、天文台の職員が、テーマとなる星に望遠鏡を合わせてくれるという。

普段は見られないような倍率で星を見られるので、密かに人気なのだそう。

「蒼人さんは行ったことがあるんですか?」
聞いてみたけど、実は初めてです、と彼は言った。

「でも、恋人ができたら一緒に行きたいな・・・って」
急に出てきた『恋人』という単語に、私はボッと顔が赤くなるのを感じた。
ぎゅっと銀のお盆を抱え込んでしまう。

そんな様子をお父さんがちょっと横目で見ている・・・気がした。

もちろん、返事はイエス。
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