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雨が好き
第32章 嵐の夜
「ありがとう・・・。水筒は明日返すね・・・昼くらいかな?」

そう言って、手を振って彼は『みなと町』の扉から出ていった。

私はこの時、なぜだか蒼人さんに無性に抱きつきたくなった。
追いかけて、抱きついて、言いたかった。

『行かないで』と。

でも、できなかった。
そして、できなかったことを、
私は後で悔いることになるのだった。
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