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雨が好き
第35章 枕元
もしかしたらいけないのかも、と思いながら、
お布団の下に手をいれる。
私の指先が蒼人さんの手に触れた。

温かい・・・手だった。
そっと、両手で包み込む。

彼の体温を感じて、また、涙が溢れる。

願わずにはいられない。
強く・・・強く・・・。

お願い・・・、私の前からいなくならないで。
私のそばにいて。
どこにも、行かないで・・・。

私は彼の手を握りしめて、
祈るように、身体を傾ける。

かけているお布団に
おでこがついて、
彼の匂いを強く感じる。

涙が、ゆっくりとお布団に零れて、
沁み込んでいった。

「蒼人さん・・・」

呟く言葉も、白いシーツに溶けて、消えた。
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