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第36章 わがまま

やっと、深く呼吸ができた。
あの電話から、私、ずっと、息が浅かった・・・みたい。
呼気が巡り、それにつれて、
身体がゆっくりとゆっくりと温かくなってきた。

「ごめん・・・」
蒼人さんの言葉が、身体の振動になって伝わってくる。

お願い、離れないで・・・

震える言葉で、頬を伝う涙もそのままに。

彼に抱きしめられながら、
私は、
生まれて初めて、家族以外の誰かに、
心からのわがままを、口にしてしまった。