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雨が好き
第37章 秋霖
【秋霖】

蒼人さんの入院は5日ほどで済むようだった。

申し訳ないと思ったけれど、
その間、私は毎日、蒼人さんの病室に通いたいと
お父さんに言った。

お父さんは笑って『いいよ』と許してくれた。

入院3日目、その日は久しぶりに雨が降った
秋らしい、しとしとと降る、冷たい灰色の雨だった。

季節が、変わる予感がする。

私は深いブルーの折りたたみ傘をさして、
その日も蒼人さんの病室に向かった。
雨のせいか、いつもと勝手が違って、
面会開始時刻から30分ほど過ぎて到着することになってしまった。

蒼人さんに早く会いたい一心で、私は転ばない程度に小走りをする。
もう、病院に来るのも三回目。
慣れてきて、ナースステーションの看護師さんに挨拶をして、
病室までひとりで迷わず行く事ができるようになっていた。
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