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雨が好き
第56章 星月夜
「みなと・・・ちゃん?」
水際さんが目を覚ました。

身体を起こそうとして、
その拍子に頭が痛んだみたい。

っ!

額を押さえる。

「お水・・・飲む?」

お父さんが用意してくれた水差しから、水をいっぱい。
すぐに全部飲んでしまったので、さらにもういっぱい。

「ここは・・・?」
「『みなと町』の2階・・・私の部屋。
 水際さん、バーで寝ちゃって・・・」

私が言うと、また額を押さえる。
今度は違う意味みたい。

「ごめん・・・私、やっちゃった・・・?」
「明日、お仕事?」
「うん・・・でも遅番で10時から」
「じゃあ、ゆっくりで平気?」
「うん・・・大丈夫」
「もう、終電ないから、泊まっていきなよ」

少し、躊躇して、水際さんは、こくりと頷いた。

閉め忘れたカーテンの向こう、
月が、まあるく、見えていた。
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