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雨が好き
第101章 大好きな時間
【大好きな時間】

いつもの『みなと町』のエアポケットの時間

今日は、久しぶりの雨
花雨とでもいうのだろうか、雨は好きだけれども
名残の桜を散らしてしまうのは、ちょっと、もったいない気がした。

こんな時、いつもの私なら、窓からぼんやりと灰色の空を見ている。
でも、今日は、ちょっと、違う。

私は、ムックのページを捲っていた。

『軽井沢』というタイトル
蒼人さんと行く、二人旅のための準備として、買ってきたものだった

めくってみると、たくさんの写真や紹介文
素敵なカフェ、
森に佇む教会、
可愛らしいペンション、
そんなこの町では見られないような建物たち

季節は春
森の木々が青く芽吹き、
雪解けの水で、川はその水の勢いを増す
軽井沢では、4月下旬まで桜が咲き誇るのだそう

特に、青空に映える枝垂れ桜の
その堂々として、かつ、優美な姿は
きっと、目の前で見たら圧倒されてしまうに違いない

それから、大きなお風呂もある・・・みたい

お風呂上がりに、ベンチに座って
それで、見上げた空に星がたくさん・・・

私は、前に蒼人さんと一緒に行ったスパでの光景を思い出していた

とん、と彼に頭を押されて、肩にもたれかかった
『そのまま、そのまま』
耳元に落ちる、彼の声

幸せな、とても幸せな時間
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