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雨が好き
第21章 フィナーレ

「見て・・・そろそろフィナーレだよ」
蒼人さんが空を指差す。
中央からひとつ小さい花火が上がった。それはお腹に響く幾重もの重低音をまとい、瞬く間に夜空を埋め尽くした。
まるで、花束のようだった。
「すごい・・・」
キュッと、彼が手を握ってくる。
はっと気がついて、蒼人さんの方を向くと、彼は花火ではなく、私を見ていた。
光が夜空で弾ける。
その光に私達の横顔が照らされる。
暗闇の中、明るい花火がいくつも打ち上がる世界で、
彼の瞳が私を映していることに、
映していてくれたことに、
私は、驚いた。
小学校3年生のあの日、私は、私から世界を切り離した。
だから、私の世界で、私はずっと一人だった。
周囲に人がいても、誰と一緒でも、
私の世界の中で、いつも私はたった一人で立ち尽くしていた。
見渡す限りの暗闇が、怖くて、怖くて、震えていた。
蒼人さんが空を指差す。
中央からひとつ小さい花火が上がった。それはお腹に響く幾重もの重低音をまとい、瞬く間に夜空を埋め尽くした。
まるで、花束のようだった。
「すごい・・・」
キュッと、彼が手を握ってくる。
はっと気がついて、蒼人さんの方を向くと、彼は花火ではなく、私を見ていた。
光が夜空で弾ける。
その光に私達の横顔が照らされる。
暗闇の中、明るい花火がいくつも打ち上がる世界で、
彼の瞳が私を映していることに、
映していてくれたことに、
私は、驚いた。
小学校3年生のあの日、私は、私から世界を切り離した。
だから、私の世界で、私はずっと一人だった。
周囲に人がいても、誰と一緒でも、
私の世界の中で、いつも私はたった一人で立ち尽くしていた。
見渡す限りの暗闇が、怖くて、怖くて、震えていた。

