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やっと、逢えた
第2章 待てど暮らせど

確かに葵が言ってた通り、
あの駅とあの時間の二つしか、
あの子を探す糸口はない。
そう思って、翌日から俺は、
彼女が小走りに降りて行った地下鉄の階段が見えるカフェで、
あの時間からきっちり一時間ばかり早い16時過ぎから三時間、
本を片手に過ごすのが日課になった。
窓越しでも眩しいからサングラスと帽子に、
パーカーのフードまで被って全身黒装束で。
でもそんなことを気にする人間が殆ど居ないのは都会の良い処かもしれない。
勿論、あの傘も毎日持ち歩いていた。
でも、一向に彼女には会えないまま、
何日も経っていった。
傘を手にサロンに戻ると、
書斎に入って溜息をついて暫くぼんやりして、
気を取り直して館に帰る日々。
あの子に初めて会ったのは、
桜が葉桜になる頃の初夏になる前。
一日の天気が変わりやすい四月半ばだった。
ゴールデンウィークも終わって初夏から鬱陶しい梅雨へと季節が移ろっていく。
あの子は、幻だったのかもしれない。
そんな気持ちになりつつも、
俺のカフェ通いは続いた。
あの駅とあの時間の二つしか、
あの子を探す糸口はない。
そう思って、翌日から俺は、
彼女が小走りに降りて行った地下鉄の階段が見えるカフェで、
あの時間からきっちり一時間ばかり早い16時過ぎから三時間、
本を片手に過ごすのが日課になった。
窓越しでも眩しいからサングラスと帽子に、
パーカーのフードまで被って全身黒装束で。
でもそんなことを気にする人間が殆ど居ないのは都会の良い処かもしれない。
勿論、あの傘も毎日持ち歩いていた。
でも、一向に彼女には会えないまま、
何日も経っていった。
傘を手にサロンに戻ると、
書斎に入って溜息をついて暫くぼんやりして、
気を取り直して館に帰る日々。
あの子に初めて会ったのは、
桜が葉桜になる頃の初夏になる前。
一日の天気が変わりやすい四月半ばだった。
ゴールデンウィークも終わって初夏から鬱陶しい梅雨へと季節が移ろっていく。
あの子は、幻だったのかもしれない。
そんな気持ちになりつつも、
俺のカフェ通いは続いた。

