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やっと、逢えた
第2章 待てど暮らせど

「毎日、ご苦労なことですね。
まだ会えないんですか?」
ノックと同時にドアを開けた葵が、
少し気の毒そうな顔で話しかけてきた。
俺は返事もしない。
その通りだし、
返事のしようもないから。
「お館様、呆れてましたよ。
病院にも顔を出さないから、
周りが訝しがってるって。
午前中だけでも、一応、『出勤』しておいたらどうです?」
と言い残して、
葵はさっさと帰ってしまった。
そうだった。
表向きは俺は医者で、
親父が経営している総合病院に勤務している。
勤務と言っても、治療するとか、何かをしているわけではなくて、
部屋に篭って論文を書いているだけだ。
「特別な」患者にだけ、『治療』をする。
『往診』に出向くこともある。
そして、そんな『往診』の日に、
彼女と会ったんだった。
そんなことをぼんやり考えながら、
そういえば最近は、通勤はおろか往診すらしていなかったと思った。
まだ会えないんですか?」
ノックと同時にドアを開けた葵が、
少し気の毒そうな顔で話しかけてきた。
俺は返事もしない。
その通りだし、
返事のしようもないから。
「お館様、呆れてましたよ。
病院にも顔を出さないから、
周りが訝しがってるって。
午前中だけでも、一応、『出勤』しておいたらどうです?」
と言い残して、
葵はさっさと帰ってしまった。
そうだった。
表向きは俺は医者で、
親父が経営している総合病院に勤務している。
勤務と言っても、治療するとか、何かをしているわけではなくて、
部屋に篭って論文を書いているだけだ。
「特別な」患者にだけ、『治療』をする。
『往診』に出向くこともある。
そして、そんな『往診』の日に、
彼女と会ったんだった。
そんなことをぼんやり考えながら、
そういえば最近は、通勤はおろか往診すらしていなかったと思った。

